“ブルージュのプレディクヘーレン橋”

ブラングィン原作(木版)

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新たな追加です。
今日は2010年6月21日。
素敵な訳詩集を友が貸してくれました。
読んでいると、こんな詩が・・・・

ブリュージュ

                        シュテファン・ツヴァイク

ここは晝間はなにもかも平凡だ
往来に百姓たちの木靴がひびき
市場に蹲つてゐる女たちの聲がやかましい

しかし 夕方のなごやかな輝きを浴びると
古い家々のもの靜かな悲しみが目を覺す
鐘が思ひ出をさそつて……暗い城壁のなかで

むかしの夢がよみがへる


(『譯詩集 北方の竪琴』 富士川英朗  より)

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今からもう随分以前のこと、夫と神戸で遊んだ折に
たまたま街角のポスターを見かけてフッと思い立ち、何の気もなしに
神戸市立博物館で開催していた《松方コレクション展》を観た。

その展覧会で、深い深い印象を与えられたのがこの絵。
何て静かなんだろう、、、
展覧会場の通奏低音のようなざわめきの中で、
この絵の前だけ音が消えてしまったような感じだった。
あらゆるものが動きを止めて静まりかえった風景。
暗さと静寂に覆われているのだけれども、街路灯の放つ明かりが
そこだけぼんやりと柔らかい光を与えていて、
建物の2階から洩れる光もほのかに温かい。
不思議な絵だった。
何よりも水辺が印象的だった。荒廃とひそかな温かさが同居していた。
こんなに不思議な光景の場所がこの世にあるのかしらと、心にしみ入った。

それから何年も経ってローデンバックの『死都ブルージュ』を読んだ時、私は、
あぁ、この死んだような街はあの絵に描かれていた街に違いないと直感し、
小躍りする気持ちだった。絵の印象は深く心に刻み付けられていたけれど、
絵の題名は忘れ去っていたし、小説を読むまでは、あの絵の不思議な空間は
私にとって架空の場所だった。
展覧会でこれ1枚だけを買っていた絵葉書を取り出して確かめた時の嬉しさ!♪♪

そして又それから何年も経ってブルージュを訪れ、
それから又何年も経ってホームページに旅行記を書くことになって、
あの絵葉書を探したのだが、展覧会の絵葉書ばかりを収納した抽斗には見当たらなかった。
ものすごくガッカリしながらも旅行記を仕上げ、再度入念に家探しをした。
そしたら〜〜〜出てきた〜〜〜!\(^o^)/!
♪♪とっても嬉しくて、旅行記に追加のページを設けました♪♪

★★作者のブラングィンについてネットで調べてみた。
フランク・ブラングィン (1867−1956年) ベルギー・ブルージュ生まれ。
1877年からロンドンに住む。1919年にロンドンの王立アカデミーの会 員に推挙された。
第1次世界大戦中にロンドンで、松方コレクションの松方幸次郎氏と親交を結び、幸次郎が
ヨーロッパで美術品を買うとき、アドバイザーを務めた。


★★作者を調べるうちにすごく残念なことに気付いた。
外国の固有名詞は様々なカタカナ表記がされる。ブラングィンも、もしかしたらブランギンとも表記されているのではなかろうか?・・・・と思い至った。
だとすれば、ブルージュにはちゃんと「ブランギン美術館」があったのだ!!
訪れたグルーニング美術館やグルートフーズ博物館とは目と鼻の先だった!・・・時間が無くて割愛してしまったのだ、、、。彼の絵はもう一度見てみたいと思っていたのに、、、
                
残念無念!〜〜残念無念〜〜!
          もう一度ブルージュへ行けという事かな?(*^)☆(^*)
                                  (2006年3月記)

ー絵葉書よりー