パリ歩き=その2=
☆クリュニー美術館
クリュニー・フランス国立中世
美術館は、セーヌ川左岸の
カルチェ・ラタン地区にある。
1世紀から16世紀初めまでの
中世美術作品1万5000点を
収蔵している。
古代ローマ時代の公共浴場の遺跡を
14世紀、ブルゴーニュにあった
クリュニー修道院の院長が買い取り館を建てた。
館はフランス革命の後、ある美術収集家の
所有となり、彼の死後は膨大な中世美術の
コレクションと共にフランス国家の所有となり、
現在は23の展示室に展示品がギッシリ。
廃墟のような遺跡が保存されていて、一部は
通りからも見える。奥のほうに館がある。
←古代ローマの浴場跡
<貴婦人と一角獣>の連作タペストリー
この美術館を訪れた目的は<貴婦人と一角獣>のタペストリー6連作を見ること。
15世紀、リヨンの行政官ル・ヴィスト家の注文によって、当時の織物技術で群を抜いていた
フランドル地方で制作されたという。
織りの材料は毛糸と絹糸。縦は4m近く、横は大きいもので4.5mを越す。
タペストリーが展示されている第13室はここだけが円形の部屋で、巨大なその室内に入ると、
6帳の大きなタペストリーが壁にぐるりと掛けられていて、もうビックリ!圧倒される。
作品をを保護するために室内はとても薄暗い。
500年以上も経つとは思われないような鮮やかで穏やかな赤い色。
天然染料で染めた糸を用いて1平方メートルを織るのに6ヶ月はかかると試算されているそうだ。
6枚のいずれの絵にも、貴婦人と一角獣(ユニコーン)、ライオンが描かれ、
そのほかにも小鳥やウサギ、犬、羊、猿達が実に愛らしく配されている。
また、画面全体にびっしりと小花が散りばめられている。これは15〜16世紀に流行した
ミル・フルール(千花模様)様式と呼ばれるもので、画面の印象が更に和らげられている。
6枚の絵にはそれぞれ寓意があり、人間の五感を表しているという。
↑ 聴覚: 楽器を奏でる(=聴覚)
↑ 嗅覚: 花冠を編む貴婦人。花の香りを嗅ぐ
(=嗅覚)
↑ 視覚:貴婦人が持つ鏡に映った
顔を見る(=視覚)一角獣。
↑触覚:貴婦人に角を
触られる(=触覚)一角獣。
← 味覚: 侍女が差し出すコンポートの中の
ドラジェ(砂糖菓子)をつまむ(=味覚)貴婦人。
このタペストリーのお土産用複製を額装して
リビングに飾っていますが、たまたま
「河内長野の四季」夏編カラスウリのページに写っています。
↓下の写真をクリックすると大きく開きます。
↑私の唯一の望み:(画面の中の天幕に書かれている言葉)
前の5枚のタペストリーでは豪華な首飾りをしていた貴婦人が、この画面ではそれをはずし、
侍女が差し出す宝石箱にしまおうとしている。
この絵を巡っては色々な解釈があるようだけれども、
「世俗的な楽しみを全て断ち切り、欲望に打ち勝つ自由な意思、それこそが唯一の望みだ」
という解釈に心引かれる気がする。
(上の6枚の画像は絵葉書からとりました)
☆長くなるので、「パリ歩き=その2=」の続きは次ページへ