ドレスデン―その2― 
ザクセン王国の栄華



ツヴィンガー宮殿



ツヴィンガー宮殿は、ザクセン選帝侯国最盛期の王であった
アウグスト強王こと、フリードリヒ・アウグスト1世が造らせた居城です。
アウグスト1世と言いましたが、彼はアウグスト2世でもあるのです。
この組写真にある門を王冠門と言いますが、これは彼がポーランドの王も兼ねたときに
喜んで造ったということです。即ち、彼はポーランド国王としてはアウグスト2世、
ザクセン国王としてはアウグスト1世というわけです。
因みに、門の上の黄金の王冠はポーランドの鷲4匹で支えられ
ポーランド王でもあることを示しているのです。

この宮殿もまた、第2次世界大戦で破壊されましたが、
残った部分と設計図を元に復元を成し遂げました。





1732年に完成した後期バロック様式で、
建築家ペッペルマンによる傑作、ドイツでも屈指の美しい宮殿とされています。
後に建築家ゼンパーによりルネッサンス様式の増築(この部分が今は絵画館となっている)
がなされました。
敷地内には広い中庭や噴水、アーチを持つギャラリー(組写真の下2枚)、
数学・物理博物館、武器庫や陶磁器コレクションなどの美術館や博物館があります。
右上の時計の写真には、マイセン焼の白い美しいカリヨンが写っています。
上のほうにはマイセンの剣のロゴが彫られています。

中庭を囲んで四囲を建物が取り囲む構造になっていて、
その一つの翼が「アルテ・マイスター絵画館」です。




  アルテ・マイスター絵画館 



アルテ・マイスター絵画館には欧州古典絵画を中心とした作品が集められています。
アウグスト強王はザクセンを強国に押し上げた一方、工芸品、美術品の収集にも熱心でした。
景徳鎮、伊万里、柿右衛門などの磁器を収集し、そのコレクションは世界屈指と言われます。
宮殿内の「陶磁器博物館」には、これら東洋の磁器を始めマイセンなどの陶磁器コレクションが
展示されているそうですが、訪れることが出来なくて残念でした。

アウグスト強王の息子アウグスト3世は絵画の収集に熱心でした。
ラファエロ、ボッティチェリ、ジョルジョーネ、レンブラント、ルーベンス、
フェルメール、デューラー、ベラスケス、エル・グレコ、、、等々
枚挙にいとまがないほどのヨーロッパ古典絵画の名品を所蔵していますが、
なかでも、有名なラファエロの「サンシストの聖母(システィーナのマドンナ)」は
多額の資金で購入したといいます。

まさに質・量ともにヨーロッパ屈指の美術館であり、
ザクセン王国最強時の栄華を今に伝えています。





展示フロアは2階と3階。
2階は11室あり、部屋毎に、イタリアルネサンスの部屋の壁はピンク色、
フランドル・ドイツは灰色、などと色分けされていました。


 

ラファエロ 【システィーナの聖母】
この絵は、下の方に描かれている可愛い2人の天使でも有名。
カードを始め様々なグッズのデザインになっています。






ジョルジョーネ【まどろみのヴィーナス】


 
























コシモ【聖家族】




プッサン【モーゼの発見】




ヴァン・ダイク【王女と犬】


  レンブラント【居酒屋の放蕩息子】


フェルメール【窓辺で手紙を読む少女】 


  クラナッハ【アダムとイヴ】


 














フランス絵画の部屋に展示されていて、あまりのモダンさに
ビックリしたのだけれど、制作されたのは17世紀と思われます。
手紙がディスプレーされています。羽根ペンもあります。
手紙が留めてある板には「1658」という数字が書かれています。
1658年にやり取りされた手紙…という設定でしょうか。












↑この部屋を中心にして、各部屋が左右に伸びています。
向こうに見えているブルーの壁の部屋はフランス絵画の部屋。






ルイ・ド・シルヴェストル【馬に乗るアウグスト強王】
ここツヴィンガー宮殿を造営した王様の肖像が
一番目立つ場所に掲げられていました。



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3階フロアにはベラスケス、ムリーリョ、エル・グレコなどの16~17世紀スペイン絵画、
18世紀フランス、イタリア絵画、
そして私が大好きなドイツロマン派のフリードリヒの絵もあるのだけれど、
時間の関係で3階フロアまで行くことは出来ませんでした。
パックツァーの悲しいところです。
フリードリヒの絵は、以前に兵庫県立美術館で開催された『ドレスデン国立美術館展』に
出ていましたし、ほかにもフェルメールの「窓辺で手紙を読む少女」など、
何点かに再会することができました。

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