ベルヴェデーレ宮殿は当時ウィーンで権勢を誇っていたオイゲン公が
1716年住居用の下宮を建設し、1723年にレセプション用の上宮を完成させた。
オイゲン公が亡くなった後はマリア・テレジアの手に移り、以後ハプスブルク家に移管された。
マリア・テレジアは、フランス王妃として嫁ぎ行く娘のマリー・アントワネットの為に、
この宮殿で別れの宴を催した。
最後にこの宮殿に住んだのは、1914年にサラエボで暗殺され、第一次世界大戦の
きっかけとなった事で有名な、オーストリア皇太子フランツ・フェリディナント公とその家族。
現在上宮は19・20世紀を中心とした絵画館となっている。
また、下宮は18世紀絵画と彫刻のバロック美術館になっている。
第3日(10月4日)
ベルヴェデーレというのは、イタリア語で「美しい眺め」という意味だそうだ。
ベルヴェデーレ宮殿 上宮
上宮の美術館のお目当てはグスタフ・クリムトとエゴン・シーレ。ほかにもルノワールやマネ、モネ
などの作品もあったのだけれど、私の印象は専らクリムトとシーレに尽きる。
明るい光の入る部屋で、「接吻」を始めクリムトの沢山の作品の黄金色が美しかった。
殊に印象深かったのがシーレの作品。シーレと言えば暗い人物像というイメージが
あったのだけれど、「窓」という作品の白い壁の色の温かさ。
落葉し始めた木々の向こう、夕暮れの空に沈みゆく太陽を描いた「4本の樹」という作品の、赤っぽい光の穏やかで静謐な美しさ。シーレにこんなにも美しい風景画があったとは、嬉しい発見だった。
上宮側の正門
上宮美術館の内部。写真を撮ることが出来るのは此処まで。
ヨーロッパの美術館には珍しく、監視員が目を光らせていて、写真撮影は絶対に御法度だった。
上宮から下宮を望む。背後にはシュテファン大聖堂の尖塔など、ウィーン市内を望見できる。
下宮美術館には膨大な作品があったけれど、駆け足で見てまわる。
中に、世界史の教科書で馴染み深いダビッドの「サン・ベルナーレ峠のナポレオン」があった。白馬に跨りアルプスを越える颯爽たるナポレオンだ。へぇ〜ここにあったんだ〜と驚いた。
上宮と下宮の間は広々と
開放的なバロック式庭園。
女性のスフィンクス像が鎮座
していて、こういうのも
バロック式と言うのだろうか?(^^)
下宮の通路から上宮側を望む。
下宮の門を出るとすぐ、そこはもう市街地。
市電が走っている。